■なぜ学習塾のフランチャイズ経営は失敗しやすいの?
少子化で学習塾経営は厳しい状況が続いています。生徒数が減っているわけですから、フランチャイズ(FC)チェーンに限らず、塾の経営は、ひとすじ縄ではいきません。
私は、新卒でZ会に入社。進学塾部門(東京都、神奈川県)で事務職、講師(英語)を経験しました。その後、転職して個別指導塾の塾長(群馬県)を務めたこともあります。その経験を踏まえて、学習塾の開業・起業について、ポイントをまとめてみました。
■市場が縮小する中、塾同士の競合が激しさを増す
「少ない生徒を奪い合う」。
どの塾も生き残りに必死です。ひんぱんにチラシを小中学校や高校の校門前で配布するなど、文字通り生徒を奪い合っています。うまくいっている塾でも、社員や講師は残業をして、骨身を削って仕事をしています。この状況下で塾経営で失敗しないようにするためには、きちんとした戦略が必要です。
■「個別塾」と「こども英語」が有望
学習塾の中では、集団指導塾よりも個別指導塾の方が有望なマーケットで、相対的には手掛けやすい形式になっています。子供の数は減っていますが、個別塾の生徒はさほど減ってはいないのです。フランチャイズの個別塾には、たとえば、明光義塾、スクールIEといったところがあります。
念のためですが、フランチャイズとは、セブン・イレブンなどと同じ形式。セブン・イレブンという看板とシステムを活用するかわりに、一定額のお金を支払う方式です。実際に経営の実務に当たるのは、セブン・イレブンではなくて、個々の加盟店(経営者)です。
また、「こども英語」の分野も有望です。小学生からの英語必修化の流れもあり、英語への教育熱は、年々高まる傾向にあります。
■フランチャイズ学習塾のメリット・デメリット
フランチャイズ塾のメリットとしては、塾運営が未経験でも手軽に独立できることがあります。フランチャイズ本部が、講師採用の方法、授業の進め方、講師給与計算システムといったマニュアルやシステムを用意してくれています。
しかし、その一方で、デメリットもあります。フランチャイズ経営が失敗だったと思っても、脱退するのが難しいケースが多々あります。フランチャイズの場合、脱退すると、「1年以内は同じ場所に塾が出せない」といった契約条項があったりするのです。ですので、「他のフランチャイズ塾にしたい」「個人経営にしたい」などと思っても、方向転換ができないことがあります。
以上、塾経営の現状について整理してみました。
塾経営といっても、集団塾、個別塾、こども英語塾など、分野はさまざま。そして、分野別に有望なものと、ちょっと厳しそうなタイプがあります。ですので、FC加盟をする際には、複数のタイプの学習塾の説明を聞き、よく比較検討することが重要です。また、可能であれば、「塾以外で魅力的なFCはないか」「FC以外で開業できる方法はないか」についても研究しておくのがベストだと思います。